毎度格別のご愛顧を賜り、心より御礼申し上げます。 夏の陽射しが美しい季節となりました。 皆様、いかがお過ごしでしょうか。 本日は、里玄米より二つのお知らせがございます。

まず、お盆休みにつきましては、七月十二日より七月十七日まで夏季休業とさせていただきます。 ご不便をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

そしてもう一つ。 長らく進めてまいりました店舗改装、サグラダファミリアとも言われていましたが(笑) このたび無事に完了いたしました。 創業より半世紀を迎えようとしている「ろばた焼里」の想いを受け継ぎ、 里玄米は今年で九年目を迎えます。 この九年間、多くのお客様とのご縁に支えられ、今日まで歩んでまいりました。 心より感謝申し上げます。 そして十年目を目前に、ようやく 先代と私が思い描いていた「里玄米」の姿が整いました。

里玄米には、決まった献立がありません。 毎朝届く自然農の野菜と向き合い、その日の命を、その日の一膳へ仕立てます。 主役は、発芽させ、丁寧に熟成させた倖素玄米。 副菜は、その日に出会った旬の恵みから生まれます。 調味料も、有機のものだけを選び、油も有機菜種油や自然農法で育まれた オリーブから搾られたものを使用しております。

私たちが目指しているのは、「植物性だから良い」「オーガニックだから良い」という単純な考えではありません。 日本人が古くから育んできた精進料理の精神を大切にしながら、 現代の食材と技法で新たな和食を表現すること。 その想いから生まれたのが、 里玄米の「精進料理」という考え方です。 (里精進、結精進、縁精進、巡精進 なにがよいでしょうか) それは、決して流行ではなく、日々の暮らしを丁寧に見つめ直すための、 一つの食文化だと考えています。

私自身、十代で初めて断食を経験しました。 その頃は「我慢」でした。 そして年月を重ね、食と向き合い続けた今、 同じ断食でも感じ方はまったく違うものになりました。 だから私は、お客様に断食を勧めたいわけではありません。 無理をしてほしいわけでもありません。 大切なのは、「何を食べるか」だけではなく、「どのような時間を過ごすか」。 誰と笑い、何を感じ、どのような気持ちで一膳をいただくのか。 その時間こそが、人生を豊かにしてくれると私は信じています。

里玄米では、どうぞ時間を忘れてお過ごしください。 ご友人と語り合う時間も、ご家族とのひとときも、お一人で静かに季節を味わう時間も、すべてがこの場所の料理の一部です。

私は医師ではありません。 病気を治すこともできません。 けれど、一人の料理人として、食を通して「日々の暮らし」と向き合うきっかけをお届けできればと願っています。 そして、お客様から学ばせていただくことも数多くあります。 食のこと、農のこと、日本文化のこと。 ぜひ皆様のお話も聞かせてください。 里玄米は、一緒に育っていく場所でもありたいと思っています。

昭和五十三年。 先代が掲げた言葉があります。 「里にきて、焼いてやかれて、楽しくたべて、馬鹿を言ったり笑ったり、論より証拠 一度来てね。」 単語を合わせると

里      焼         た        ば              ろ      「里、焼、た、ば、ろ」 先代なかなかお茶目です

この言葉は、今も私たちの原点です。 お帰りになる頃には、お腹だけではなく、心にも少しだけ余白が生まれている。 そんな一日をお持ち帰りいただけるよう、 スタッフ一同、これからも精進してまいります。

次の満月には、十年目へ向けた大切なお知らせをお届けいたします。 そして、その日から新たな試みも始めようと思います。 私が料理人として歩み、考え、学んできたこと。 食と向き合う中で見えてきたこと。 農家さんとのご縁。 精進料理という日本の文化。 一皿が出来上がるまでの物語。 そんなことを、少しずつ皆様へお届けする「里玄米便り」を始めます。

第一話は 「献立を決めない料理屋です。」 どうぞ、お楽しみに

皆様とお会いできます日を、心より楽しみにしております。

完全予約制
里玄米